【VMDに役立つ 入社半年の新入社員への助言】 

倉庫管理など後方の仕事は考える習慣身につけるチャンス

今春、入社した方はこれまで、入荷した商品を什器に並べる、売り場に立ってお客様と接する、ディスプレーを作る――などを経験し、少し慣れてきた頃と思います。初めは倉庫の管理など後方の仕事が中心と思いますが、倉庫の管理と売り場作りには共通点も多く、販売や仕入れなどに役立つこともたくさんあります。倉庫管理だけではありません。この時期の経験は将来の全てに通じるのです。

売り場作りは倉庫から

売り場作りではお客様が欲しい商品を容易に見つけられるように、購入時の関心度合いを見極めて展開分類と配置を決めます。お客様が商品を比較検討する際にストレスを感じないよう、色やサイズの順番をルールに沿って同一にします。倉庫も売り場と同じ分類と配置にし、並べる順番も同じにすれば、誰が倉庫に行っても目当ての商品をすぐ見つけることができるようになり、仕事の効率が上がります。

倉庫での分類を売り場と同じにするためには、売り場に立った時、現状の展開分類を確認し、把握しておく必要があります。展開分類には大・中・小分類があり、それは分類基準に優先順位をつけることで決まりますが、今の大・中・小分類はどのようになっているのか、お客様にとって果たしてベストなのか、そのことを常に考える習慣を身につけるチャンスでもあります。

それから、人はふつう「汚い」より「キレイ」が好きです。繁盛する店は総じて「キレイ」です。「キレイ」は繁盛店の条件でもあります。キレイには3種類あり、清潔でキレイ、整然とキレイ、お洒落でキレイです。倉庫で必要なことは、清潔で「キレイ」なことと整然として「キレイ」です。清潔で「キレイ」は清掃に励めば実現できますが、整然と「キレイ」な状態を維持するためにはノウハウも必要です。

例えば、ダンボールやメモなど余計なものが目についてしまうお店があります。これは自分たちの都合を優先するために起きる現象です。自分たちに便利だから、楽だからという理由で売り場に置くようになると、余計なものがどんどん増えていきます。その結果、ごちゃごちゃして汚いお店という印象を持たれ、お客様から嫌われるお店になってしまいます。

倉庫も同様。お客様の目が届かないからと、余計なものを置くようになるとどんどん増え、ごちゃごちゃな状態になってしまいます。余計なものを置かず、常に倉庫の整理整頓を心がければ、キレイな状態を維持できる新入社員という評価につながり、先輩社員からも好かれます。また、整理された状態を保てば棚卸しのミスを防ぐこともでき、会社に貢献できます。

陳列の苦労は将来の肥やし

倉庫から商品を売り場に運び、什器に並べるとき、どう考えても、どのように工夫しても上手くまとまらない、美しい状態に並べることができない――ということがあると思います。

その理由は、商品を仕入れる際に、什器のサイズや什器レイアウトを考慮していないからです。売れそうだと判断した商品を仕入れれば、それで「仕入れ担当としての仕事は終了」と考えているからです。

什器に商品を並べるときは、空いている所に商品を並べて終了なのではなく、まとまり感があるか、見た目が美しいか――という視点で点検しましょう。「4色なら丁度まとまるのに。何故5色にしたのだろう」などと疑問に感じたことがあるとしたら、それは仕入れ時の棚割りプランがないから起きているのです。什器に1列分入らず商品が余ってしまうというようなこともプランの段階で分かっていれば、仕入れで1色減らすなどの修正ができたはずです。

自分が仕入れを担当することになった時、棚割りプラン(仕入れ予定の商品を何処で、どの什器を使い、どのように分類し、何列何点、吊るすのかたたむのかなど)を作成すれば、このような並べる人の悩みは解消されます。

ディスプレーとPOPで売り上げ貢献

ディスプレーとPOPを工夫することでも売り上げに貢献できます。売り場作りで重要なことの一つに「品揃え情報を伝えること」があります。お客様に伝えたいことはたくさんあります。ただし、伝えたいことを伝えることは容易ではありません。人が目を向けるのは一瞬です。その瞬間に伝えたいことを伝えるには「欲張らないこと」です。伝えたいことが沢山あっても、欲張らずにテーマを絞ります。

まず売りたい商品を決め、アピールしたいことをできるだけ絞ります。テーマを絞ると発信する情報は少なくなりますが、瞬時に強く受信されるようになり、結果的に多くの情報がお客様に伝わります。そして、伝わった情報に興味を抱いてくれると立寄ってもらえます。しかし、お客様に伝わらなければ、立ち寄りようがありません。立ち寄ってもらうためには、発信した情報を確実に伝えることです。そのためにはテーマを絞ります。

品揃え情報を伝えるには

・売りたい商品を決める
・テーマを絞る
・テーマの切り口は素材や機能、デザイン、トレンド、コーディネートなど
・ディスプレーの原則、POPの原則に従ってアピールする

テーマを伝えるにはディスプレーとPOPが有効です。伝えるためには、テーマの絞込みと同時に、ディスプレーとPOPの原則を知ることも必要です。

ディスプレーの原則に、「商品選定の原則」と「構成の原則」があります。「商品選定の原則」とは、テーマに該当し、在庫が豊富で低価格、そして新鮮な商品をディスプレーに使用することです。「構成の原則」とは、選定した商品を使って、視認してもらう構成のタイト(固まりを作る)、クロスコーディネーション(異なるアイテムの色を同一にするなど)、安心感を与える構成のトライアングル(三角形)、シンメトリー(左右対称)、印象づける構成のリピート(同じパターンを繰り返す)などがあります。

POPにも原則があります。まず、POPを見てもらい、読んでもらうために、お客様とPOPの距離を考慮して文字のサイズを決め、体裁を整えます。体裁を整えるためには、用紙の色やサイズ、文字の色や字体、レイアウト、設置場所、数量などをルール化しておきます。そして、記載内容を理解してもらい、伝えるために、専門用語など使わずに誰でも分かる言葉を使います。説明文は簡潔にまとめ、文字数は30~40文字にします。

ディスプレーの原則

1.商品選定の原則
・テーマに該当
・在庫が豊富
・価格が値頃
・鮮度が高い

2.構成の原則
・タイト(固まり)
・クロスコーディネーション(異なるアイテムの同色展開)
・トライアングル(三角形)
・シンメトリー(左右大笑
・リピート(同じパターンの繰り返し)

POPの原則

・お客様との距離を考慮した文字サイズ
・用紙の色やサイズ、文字の色や字体で体裁を整える
・専門用語は使わず誰でも分かることばで簡潔に
・文字数は30~40文字

このように、ディスプレーにもPOPにも「伝えるための原則」があります。原則を学ばずに自分の感性だけで作っても、売り上げに貢献しないものを作ってしまいかねません。せっかく時間と労力をかけるのですから、原則を習得して売り上げに結びつくものを作りましょう。

科学と感性に分ける

何ごとも科学的な部分と感性の部分とで成り立っていますが、小売りにも「科学」と「感性」があります。小売りの科学には三つあり、中心となるものは誰でも成果を出せる原則です。入店客を増やす原則、商品をたくさん見てもらう原則などがあります。

二つ目はお店のルールです。会社には様々なルールがあります。ルールは社員全員が守るべきで、個人の感性を発揮する余地などありませんから科学です。

三つ目は仮説と検証で得た独自のノウハウです。小売りには誰もが実施すべき原則がありますが、やってみなければ分からないことも沢山あります。ベストセラー本の「選択の科学」(シーナ・アイエンガー著)によると、ある食品スーパーの試食ブースで、ジャムを24種類置いた時と、6種類置いた時の売り上げを比べたところ、6種類置いた時の方が6倍以上売れたそうです。これは、新たに取得した一つのノウハウです。このように、仮説と検証で得たノウハウも科学なのです。

一方の感性については「絶対」という基準がなく、個人によって物差しが異なります。ですからそれぞれが主張し始めたら収拾がつかなくなります。

感性についてはどのように決めるのかをあらかじめ取り決めておくと、大概のことは収まります。感性に関しての決め方とは、例えば責任者が決める、多数決で決める、専門家が決める、などです。取り決めを作っておくことで、結論の出ない議論に費やす無駄な時間が減り、仕事の効率が上がります。

個人の感性に頼る部分を少なくして、科学的な部分を広く確立することがお店の売り上げにつながると考えます。

科学といっても難しく考えることはありません。お客様の視線でお店を観察し、お客様にとって「分かりやすい売り場」「気持ちの良い売り場」にすればどうすればよいのか、仮説を立て検証を積み重ねることがみなさんの財産になります。若いうちからこうした考え方が習慣になっていれば、将来、何を担当することになっても必ず生きてくるはずです。どんなことにも興味を持ち、今の仕事に積極的に向き合ってください。

 

【VMDに役立つ 入社半年の新入社員への助言】  繊研新聞 2014年10月27日掲載

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